幸せに
ある日前触れもなく、学校に行けなくなった
教室に入ろうと扉に手をかけた時、普段聞こえない心臓の音がバクバク聞こえてきた。おかしいとは思ったが、前にもあったことだった。今回も大丈夫だろうと教室に1歩歩みを進める、と
体
が
傾
く
気づけばそこは保健室で起きて早々、親御さん来ているから今日は帰りなさい、と担任に言われてしまった。
次の日もその次の日も、1週間たっても、1ヶ月たっても
学校へは行けなかった。
おかしいと思った。ぼくの体はこんなに弱くなってしまったのか。いつしか太陽の光や家族さえも拒絶するようになった。
自分のことが理解できなかった。普通に学校に行けるはずだったのに。なぜか動けなかった、動かなかった。
本来できるはずだった友達も、恋人も、親友も、先輩も、後輩も。全て、無くしてしまった。
ある日インターネットサーフィンをしていたら、
親のスネかじって生きてます、というタイトルの動画を見つけた。
そこには、床が見えないほどのゴミやペットボトル、コンビニの袋。ベッドの上でさえ物で溢れかえっていた。
部屋の電気は消され、パソコンから放たれる光だけが照らしている。
そして縦より横の面積の方が多そうな体型の男が出てきた。髪は油でギトギトになっており、清潔感とは程遠い。
なにやらボソボソしゃべっているが、音量を上げてもほとんど聞こえない。
あぁ、自分より不幸な人がいる。
自分はまだ不幸せなんかじゃない、むしろマシな方だと思うことができた。
それはぼくの人生、最大の喜びであった。
3/31/2026, 11:35:03 AM