道端に咲いた白い花。静かに佇む一輪にそっと祈りを託す。
スキ、キライ、スキ、キライ……
呟いては摘み取って、花弁がはらはらと舞い落ちる。
一枚、二枚、重ねていくたび。心は期待と不安に躍る。
占うのは君の心。素直になれない恋の行方。
どうかお願い。わたしが君に抱く心。同じものを君も抱いていてほしい。
すれ違った瞬間、目が合ったのは気のせいなんかじゃなかったと。そう思わせてほしい。
残す花弁はあとわずか。寂しげな筒状花と目が合って、心がざわめく。
もし、最後に残るの望んだ答えでなかったら。そんな予感に指が止まる。怖い。けれど、後には引けない。
目を閉じて、深く息を吸う。
ゆっくりと吐いて、また向き合う。
大丈夫。信じてる。
きっとこの恋は未来に繋がっている。
スキ、キライ、スキ、キライ……
ひらり、最後の花弁のこたえは――。
【好き嫌い】
6/13/2023, 9:23:35 AM