未知亜

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誰かの後についていれば、間違いないと思っていた。通り過ぎるのをただ待てばいい。心を無にしてひたすら待とう。そうすれば、傷つかない。

「ほんとは嫌なんでしょ?」
ㅤ見上げると、私を背にして立つあなた。スカートのプリーツがひらりと舞う。
「……なんで?ㅤくだらないんじゃ、なかったの?」
ㅤ数日前に言われた言葉をボソボソ呟くことしか、私には出来なかった。だって、こんなの、信じられない。あなたが私を、庇ってくれてる。
「何もしようとしないあんたは、確かにくだらないよ。でも——」
ㅤ今はそれより、くだらないものがある。

ㅤ私はずっと雑草みたいなものだと思ってた。どんな花もつけずに枯れていく。それを不幸とも嫌だとも、考えたことすらない。
ㅤすっと伸びる白いふくらはぎ。葉脈のように透ける血管の青に、私はしばし見とれてしまう。
ㅤ雑草の目の前に舞い降りた、一輪の花。

『一輪の花』

2/25/2025, 4:51:29 AM