なつめ

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海を知らない少女を前に麦わら帽の我は両手をひろげていたり

 山に囲まれた盆地に小さな村があった。そこにはたくさんの畑や田が広がっており、とてものどかな土地だった。
 一つの畑に、白いワンピース姿の少女が立っていた。彼女は海を知らない。村を一度もでたことがないから。彼女の一番の友達は麦わら帽子をかぶって両手をひろげている「かかし」だった。「かかし」は思った。我なんかが友達でなく、海にでていって新しい友達をつくってほしいと。

8/11/2024, 3:24:41 PM