摂理。生きている人間にのみ、全ての権利が託される。人の死を嘲笑うことも、亡骸に唾を吐きかけることも簡単な動作によって遂行が可能であり、それらはモラルやマナーの中でしか防ぐことが出来ない上、そのような脆い壁などいとも簡単に破られてしまう。死んでしまえば、その瞬間から、自由も人権も剥ぎ取られ、ただ虚しい肉塊と化す。魂が入っていなければ人では無いのか。臓器が、巡る血液がピタリと止まれば、その瞬間から人間という枠の中から弾き出されてしまうのか。
 生。それまで持っていた夢や、信念や、資産でさえも全て ''無''に還元される。
怖いかい？それとも、怒りや憎悪を感じる？
意思がなければそれに応答する感情などなくなる。当然のことだ。生きている人間にのみ、全ての権利が託される、これは全く否定のできない事だ。その亡骸を見て、どう感じるのか。既にそこにはない魂に、どれほどの情を抱くのか。
 さて、自分が人であるうちに、どれほどの信念を貫く。

｢孤独を、ください。｣

人は人と相対して生活をするから、そのせいで僕は苦しいんだ。そもそも自分以外の知的生命体と完璧に全てを分かり合おうなんてのは無理なんだ。

｢孤独を、僕は、僕は独りになりたい。｣

ふと脳が疼いた。胸をぐっと掴まれたかのように苦しく…