→短編・ラッキーアイテム
私は、商店街のブティック(マダム向け)に勤めている。
ある朝、店を開けるなり女性のお客さんが飛び込んできた。忙しなく視線を動かしている。
何か目当てのものがあるに違いない。声をかけようかと思ったところで、彼女は瞳を輝かせ棚から赤いセーターを取り出した。
「これ、お願い!」
「試着は……?」
ここで着替えさせて、と言う。試着室で彼女は快活に話し続けた。「今日のな、朝の占いのラッキーアイテム、赤いセーターやってん!」
さらに曰く、仕事で大きなプレゼンがあるらしく、験を担ごうと思ったらしい。
ありがとうございますと送り出すまで、彼女は明るく和やかに色々な話をしてくれた。
可愛らしくエネルギッシュな彼女のおかげで、朝から清々しいスタートとなった。
テーマ; セーター
※ちょびっとだけ実話を元にしています。
11/25/2024, 2:27:41 AM