@何番煎じ

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『勿忘草』

ねえ、知ってる?勿忘草っていう花。そう、小さくて淡いブルーの花。私嫌いだったんだ。だってあの真っ赤な人目を惹く薔薇や明るい太陽に向かって、うんと背を伸ばす向日葵のようには到底なれないんだもの。

でもね、彼が言ったの。
「勿忘草の花言葉は、”真実の愛“それから“誠の愛”なんだって。とても素敵だね。」って。とても愛おしそうに私を見つめて言うんだもの。
その瞬間恋に落ちたわ。
他にも「今日も小さくて可愛らしいね。」とか「水が滴るとより綺麗だね。」なんて、恥ずかしくなるようなことを平気で言うんだもの。

まさかよね、短い生命(いのち)の私が恋なんて。しかも人間の彼に。お天気のいい日はこちらに来てお話しながらお水をくれるの。といっても、さっき述べた通り彼が一方的に優しい言葉を掛けてくれるだけなんだけど。

でもそろそろお別れね。最近の気温が私には合わないみたいで、彼も心配そうに見てるわ。大丈夫よ。また時が来れば運が良ければここで逢いましょう。

だけどその時まで“私を忘れないで”…。

2/3/2024, 4:36:43 AM