Kira

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さっきからずっと視線を感じる。
それは睨みつけるような感じではなく
優しい感じで見られているようなそんな視線だが…


ずっとずっと小さい頃からひとつの夢があった。
よく親にも言ってた。
「俺さ、将来お嫁さんにする人がいるんだ!」って。
その度に「なれるといいわねー」と笑われていた。

俺の親と彼女の親は仲が良くて、昔から親交もあった。
ずっとずっとただ好きだ、それしか思ってなかったけど

今はそんな視線を送ってくる隣に座るのが俺のひとつの夢の相手だった。

何も言わず手を差し出すと、その手に感触が伝わる。

俺の彼女…
ずっと一生いたいと思っていた女が俺と付き合ってくれた。

俺でいいのか?と思う反面…

彼女がどれだけ苦労してきたのかも知ってる。
彼女が仕事で悩み、沢山泣いてきたのも知ってる。

だからこそもう二度と…

「…泣かせないから」
「え?」

「お前今まで沢山悩んで泣いてきたことあっただろ?もう俺絶対お前の事泣かせないから」
「……」
「ずっと笑顔見せてよ、俺笑顔好きなんだ」
「んじゃあずっと笑わせててよ?」

信号が赤になると車が止まる。
その瞬間ぐっと頭を掴むとその口が重なり合う。

「大丈夫だよ」

「俺の横にいたらもう二度と泣くなんて事させないから」

episode 『もう二度と…』

3/25/2025, 1:20:17 AM