藍星

Open App

あっ、久しぶり!

お久しぶりー。元気だった?



あはは・・元気ではなかったかな。

ごめん、そうだったよね。でも、会えて良かった。


数年ぶりに友人と会った。変わりなく・・とは言えない変化が、良くも悪くもお互いにあったものの、この時ばかりは会えたことが、純粋に嬉しかった。

連絡は取り合っていたものの、顔を合わせるとやはり、相手から直接感じる雰囲気などでいろいろと話が弾む。
数時間があっという間に過ぎてしまった。

とても名残惜しかったが、お互いに時間の都合をつけてきていたため、
またね、また絶対会おうね。
と、約束して別れた。

久しぶりに遠出して、友人と待ち合わせた。そして、楽しくてあっという間に過ぎてしまったものの、数時間の会話。


疲れが、今になってドッと出てきた・・。
ふと、持病の薬をのんでいなかったことを思い出した。

あぁ、このだるさは薬をのみ忘れたからか。
今更だけど、のんでおかなくては。

薬をのんで少しだけ体が楽になった。
帰路を急ぐも、やはりのむのが遅かったのと、予想以上に疲れていたみたいだった。

近くの公園に立ち寄り、屋根があるベンチに座った。この季節に、じっと座っているのは寒さで体がこたえるのだが、無理して歩き続けて倒れたことは、もう何度もある。
とりあえず立ち止まる。可能なら、座る。
それが応急処置だった。

とは言え、これからどうしよう。
まだ家まではそれなりにある、と言っても今すぐ動けそうにない。
だけど、この時期は日没が早い。
あまりゆっくりはしていられない。
何より、寒い。

歩く気力が回復する前に、寒さで凍えてしまいそうだった。

それをわかっていたかのように、スマホがなった。彼から連絡がきた。
現状を伝えると、迎えにきてくれた。

家に帰り、ベッドで横になっていると、彼があたたかいココアを持ってきてくれた。
ありがとうと、受け取る。

彼は、久しぶりの再会はどうだった?と尋ねてきた。
楽しかった。いろんなこと話せたんだと、話す私の言葉を、彼は微笑ましそうに聞いてくれた。だけど、
薬をのむのを忘れないことと、体に異変を感じたらすぐに連絡することを、念を押されてしまった。

いつものことなのだが、今日はいつにも増してその彼の言葉でじんわりと心があったかくなった。
ふふっ、と小さく笑うと、
彼は、笑いごとじゃない。と
少し不機嫌になった。

ごめん。そういう意味で笑ったんじゃないよ。なんか今、幸せだなぁって思ったの。
あなたは本当に私のことを思ってくれてるんだなぁって。
・・私、今まで何度もいろんな人を紹介されててさ、いわゆる縁談とかお見合いって言うのかな。仕事の関係での縁だったから、相手は仕事をする人って言う認識で私のことを見てる人ばかりだった。私のことをただの仕事する機械みたいに見られてたなぁって。
あなたは、仕事人ではなくて、私のことをありのままの私として、人として見て大切にしてくれるのが嬉しいなって。

だから、幸せだなぁって。
ちゃんとこれからも気をつけるから、薬もちゃんとのむから。機嫌直してほしいな。
と、苦笑した私を、
彼は何か言いたそうな表情で見つめていた。

あっ・・あの、迎えにきてくれてありがとうね。でも、心配かけたならごめん。
私、あなたがいるから今、こうして生きていられると思っているよ。できることなら、これからもどんな関係であっても、あなたのそばにいたいって思う。
あなたのそばにいるのが相応しいような、なるべく心配かけないような人になるから。
だから・・それまで、待っててほしいな。
私、頑張るから。だから・・

言葉を続けようとした私の頭に、彼はポンッと手を置いた。あやすように私の頭を撫でてきた。

オレは・・君以外の誰かに隣にいてもらう気はない。オレも、君の隣以外、誰かの隣にいくつもりはない。
だから・・

言ってて恥ずかしくなったのか、顔を見られたくなかったのか、彼は私のあたまをクシャクシャと、かきまわした。

あっ・・ちょっと!
もうっ・・ふふっ。実はさ、今日会った友達がね、いい人を紹介できるよって、言ったんだ。

彼は珍しく明らかに動揺して、私を抱きしめた。からかったつもりはないのだけど、この反応がついつい嬉しく思ってしまった。

嫌だ。君を渡したくない。
絶対・・離すもんか。

普段なかなか聞けない言葉が聞けて、正直嬉しかった。でも、さすがに可哀想に思えて・・

友達がね、
だけど、紹介は必要なさそうだね。だって、今のあなたは今までで一番か弱い雰囲気になってしまったけど、今までで一番幸せそうに見える。それだけ、今一緒にいる人と幸せなんだって、わかるもの。
って、言ってたんだ。

彼の顔は見えなかったけど、きっと安心したのだろう。抱きしめてくる腕の力が少し抜けたから。


だから、これからもよろしくね。
と、抱きしめ返した。


うん。・・でも、君を一人にするのはいろいろと危ないってことが、よくわかった。
だから・・・待ってて。待っててほしい。

私には彼のこの言葉の意味が
よくわからなかった。
しかし彼はこのことについては、
いくら聞いても、教えてくれなかった。

2/14/2024, 3:20:21 AM