あの子はいつもご機嫌に歌をうたう。
甲高い声で、お世辞にも上手いとは言えない歌を。
「ふんふーん♪」
何をする時でも歌をうたう。
以前、なんでそんなに歌が好きなのかと聞いた事がある。するとあの子はニコニコと笑ったまま、「言っても無駄だから教えなーい♪」と歌うように返された。
今もあの子はご機嫌で歌っている、
鈍い音をBGMに、何度も両腕を上下に振りながら。
飛沫をあちこちに撒き散らしながら。
「LaLaLa Goodbye ~♪クソみたいなこの世にサヨナラ~♪」
どこかで聞いたことがあるような無いような、もしかしたらあの子が即興で作った歌なのかもしれない。
「いつかの質問答えてやるよ」
手にしたものを放り投げて、あの子が振り向く。
頬に飛び散る飛沫が鮮やかに僕の目に映る。
「歌でも歌わなきゃやってらんねえ毎日だったからだよバーカ!」
鈍い音が再び響く。
僕の意識はそこで途切れた。
END
「LaLaLa Goodbye」
10/13/2025, 11:52:05 AM