川瀬りん

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『胸の鼓動』


胸の鼓動と聞いて真っ先に思い浮かんだのは恋であった。
しかし、考えてみれば何も恋だけではない。
驚いたとき、不安なとき、走ったとき、苦しいとき――。
心臓は激しく動き、その鼓動をこの身で感じる。

だけどそのどんなときでも必ず付き纏うのは、
「今にも心臓が止まってしまうのではないか」
という思いだ。
電池が入ってるわけでもなければ、充電式でもない。
生まれてこの方、自分の体の中で自然に動いている。

この鼓動は何だ?
なぜ鼓動が聴こえる?
なぜ動いていられるんだ?

こんなに激しく動いて、この心臓は止まらないのだろうか?
激しく動いて酷使し続けていれば人より早く止まってしまうのではないか?
この心臓の音が、明日もあるなんて保障などどこにもないのではないか?

様々な思いが頭をよぎるが、それは全て死への恐怖なのかもしれない。




ノンフィクション+創作加味 2023/09/08
(どんなときでも付き纏うという部分が創作。実際は毎回じゃないけど、時々思うことです)

9/8/2023, 2:00:34 PM