G14

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 私は彼女を見た瞬間、体に電撃が走った。
 一目ぼれと言う奴だろう。
 あの子が欲しい。
 そんな気持ちが溢れる。

 だが私もいい年をした大人だ。
 だから私は自分に気の迷いだと言い聞かせ、その場を去った。
 しかし、家に帰り、風呂に入っても忘れることはできなかった。
 布団に入り
 きっと一晩眠れば忘れるはずさ。
 そう思っていた。

 だけど、次の朝になっても、思い出されるのは彼女の事ばかりだった。
 そこに至ってやっと私は自分の過ちを認めた。
 これは恋なんだと。

 彼女に会いに行こう。
 幸い今日は休日だ。
 朝から今から準備すれば、朝の内に会いに行けるだろう。
 急いで着替えを済ませ、家を出る。

 だが車の運転席に乗り込んだ時、冷静な部分の私がささやく。
『あれほど美人だよ。手遅れかも』
 その言葉に私は一瞬ためらう。
 しかし、ここで行かなければ、私は一生後悔するだろう。

『やらない後悔より、やる後悔』
 誰が行ったかは覚えていないが、偉大な言葉である。
 私はその言葉に勇気づけられ、車を出発させる。
 もう迷わない。
 待っていろよ――

 車で一時間、目的の場所に着く。
 目の前にあるのはホームセンター。
 彼女はここにいる。

 怪しまれないよう、でもできるだけ早く歩き店内に入る。
 昨日、彼女がいた場所はいるだろうか?
 心臓が高鳴るのを自覚しながら、その場所を見ると、彼女は昨日と変わらない姿で佇んでいた。
 私はすぐさま駆け寄り、彼女を抱きしめる。
 もう離さない。

 そして私は綺麗に咲いた『アジサイ』を抱きしめてレジへ向かう。
 会計の際、不覚にも手放してしまったが、きっと彼女も許してくれるはず、多分。

 すべての用事が終わった店から出て、車に乗り込む。
 助手席に彼女を座らせ、車のエンジンをかける。
 そしてもう一度彼女を見る。
 綺麗に咲き誇る彼女は美しい
 やはりアジサイはいい。

 これが彼女と出会った時の話。
 彼女は今もベランダにいる

P.S.
 お気づかれた方もいると思いますが、自分の実話です。
 もともとアジサイは好きなのですが、その時初めて見た品種のアジサイに心を奪われ、家に迎え入れました。
 アジサイは、いいぞ。

2/6/2024, 9:55:24 AM