怖がり
俺の幼馴染はひどく怖がりだ。
「ふえぇ…朝起きてからずっと鼻水が止まらないぃ…死んじゃうのかな…」
大体常に「ふえぇ」と言いながら周囲のものに怯えている。「ふえぇ」だなんて、漫画やアニメのヒロインにしか許されなさそうな泣き声(鳴き声?)だが、実際幼馴染は美少女なので許されるのである。ルッキズム様々だ。
「普通に風邪か花粉症だろ。今年、花粉の飛んでる量すごいらしいし」
「ふぇ…そっかぁ…ふぇ…ふぇ、ふぇっくち!…うぅ、鼻がすごいむずむずする…」
「やっぱ花粉症じゃね」
「うーん、そうかも…」
そう言いながらポケットティッシュを取り出してちーんと鼻をかむ幼馴染。あんまり症状が酷いようなら、今度鼻セ◯ブでもプレゼントしてみようか。
「前から思ってたことなんだが、なんでそんなに怖がりなんだ?」
「ふぇ?」
涙目できょとんとこちらを見つめる幼馴染。なんか変な気分になるからやめてほしい。
「うーん…人は知らないもの、わからないものを怖がるから、かな…」
「いやでもお前、学校だと毎回テストの時学年一位だし、大体のことなんでも知ってるし…何も怖がる必要なくないか?」
「ふ…知るということは、知らないということを知ること…ふぇ、ふぇっくち!」
せっかく哲学めいたことをかっこよく言おうとしていたのに、最後のくしゃみで台無しである。
「…大体、私がこんなに怖がりなのは、君に関してだけだけどね」
「ん?なんて?」
「ふぇ、な、なんでもないよ…ふ、ふぇっくしょい!」
「おー、でけぇの出たな」
結局理由はよくわからなかったが、まぁ、この臆病な幼馴染の面倒を見るのも、幼馴染としての役目だと思っている。
3/16/2024, 2:23:38 PM