無季

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   むかし、
   雲に色をつけてしまおう、って思ったことがある。

   白や黒じゃ物足りないから、
   青色とか、赤色とかに染めてしまおう、なんて。

   大きくなって、 
   曙や黄昏を見るようになった。

   空を見上げて、眩しさに目を細めて、
   夕焼けに感傷的になって、
   東雲に嫌気が差すようになった。

   雲の行方を追うこともなくなった。
   雲の形を夢想することも減った。
   空を見る余裕もなくなった。

   それでも、ふとした瞬間に見上げた空は、
   快晴に限らずとも、少し特別に感じる。

8/19/2024, 3:07:53 PM