John Doe(短編小説)

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僕は弟を、殴った。
反撃してこようものなら、蹴りも入れた。
弟の全てが、憎かった。
殺さない程度に、痛め付けた。
そして最後に、小さな箱の中に閉じ込めた。

僕は泣いた。
小さな箱を抱きしめながら。

僕より背が高いのが大嫌いだった。
僕より賢いのが大嫌いだった。
僕より大人っぽいのが大嫌いだった。
僕よりおしゃれなのが大嫌いだった。
僕より顔立ちが良かったのが大嫌いだった。
僕より女の子にモテるのが大嫌いだった。
僕より家族に愛されていたのが大嫌いだった。

だけど、僕は弟が好きだ。
きっと死んでしまったら、喪失感から立ち直れないだろうと思う。
死ぬべきは、この僕だ。
だけど、僕が死んだら、弟は泣いてくれるだろうか?

僕への憎悪で満たされた小さな箱を抱えながら、僕はただみっともなく泣くしかなかった。

1/11/2024, 9:27:13 PM