NoName

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世界は常に選択を迫ってくる。
それが嫌いだった。
だからいつも選ばないでいいように、誰かが選んだ残りを手にしてきた。

でもそれじゃあダメだと教えてくれた人がいた。
これはその人との出会いの話。

君がいた証の話だ。

『まぁた悩んでんのかよ~』
『だって選べない……選ばれなかったほうが可哀想だよ』
『あ~もうしっかたねぇな!よし、決めた!こっち、こっちはお前のな』
『え、』
『ちょうど欲しかったやつに似てんだよ、もう一個の方。だからさぁ、こっちがお前の』
『……いつもごめんね、ありがとう』

謝んなよ、
そう言っていつも笑っていたね。

それからも選べなくて困ってるたびに君が来て決めてくれたね。

ちょうど欲しかった
今日はこっちの気分だから
どーちーらーにしーよーかーな、かーみーさーまーのいうとおり!
はは、神さまの言うとおりなら仕方ねぇよな

選べなくて迷惑かけて謝るたびに君は謝るなと言ってくれた。

気にすんなよ、選ばないのがお前の優しさで強さだろうが

そんな事をいう君が眩しくて、心強くて、大好きだった。
月並みな言葉だけど、君はヒーローだった。


【落ち見失いました…】

書きたいこと。

君が僕に選択を強いる。
君を倒さないと世界はいずれ君が壊す

君か
世界か

下手な漫画みたいなことだなぁ、と何処か他人事に考えていた。

『お前が選べ』
―――――――――

やっと選んだか!
お前に倒されたくて頑張った甲斐があった!

豪快に笑う姿は記憶のままだった。

6/8/2024, 10:55:16 PM