太陽の下での続き
愛情
「どうしても 冬に会って欲しいの?」
君は、頑なにそう言って居たのに・・・
何故 僕は、あんな事を呟いて
君と一緒に出掛けてしまったんだろう...
すぐ 冗談だよと返せば良かった。....
君が 出掛けようと言った時に否定
すれば良かった。....
君が僕の前から 姿を消して
一年が 過ぎた。
初めの内は事件や 何かに巻き込まれたの
かと思い 気が気じゃ無く
方々を探し回った。
だけど 君は、どこを 探しても
見つから無かった。
君と最期に会った 暖かい春の日
木漏れ日の中で 君と一緒に
草の上に寝転んで 君は
とても嬉しそうに笑って居たね
まるで 焦がれていた物に
初めて 触れた様な
そんな笑顔だった。
帰り際に交わした君とのキス
君から 言い出した時は
びっくりしたけど...嬉しかった。
僕は、照れくさくて
躊躇う様にキスを
したけど...
君は、僕の頭を引き寄せ
情熱的なキスを返した。
瞬間 頭の中が 真っ白になった。
君は、貪る様に
必死に記憶する様に
僕の唇に吸い付くから
僕の体は 背筋から
甘い 歓喜の痺れが
走っていた。
思えば あれが君との最期だった。
君が結局 何者だったのか 僕は
知らない
だけど...
「冬にしか会えない...」
君が言った その言葉を
僕は、もっと深く考えるべきだった...。
ねぇ 僕は君に愛情を注げていただろうか...
結局 君に愛情を貰ってばっかで
何も返せていない様な気がする。
僕がそんな風に考え込んでいると
ふと カーテンの隙間から
冷たい風が吹き込んで来た。
そうして 僕の耳朶に...
「馬鹿ね... そんな事ある訳無いじゃない」と そんな君の声が
飛び込んで来た様な錯覚を覚えた。
僕は、顔を上げ
目から流れる水滴が これ以上流れない
様に 必死に堪えた。
11/27/2023, 11:18:42 PM