記憶
記憶喪失もの、例えば恋人との記憶を忘れてしまったとか、一日しか記憶が持たないとか、テレビやドラマや映画、あらゆるエンタメでよく見かける気がする。実際私も幾つか見たり読んだりしたことがあって、特に小川洋子さんの『博士の愛した数式』という本が印象に残っている。読んだことある方いらっしゃるかな、、
記憶障害の博士と、博士の家に雇われた家政婦とその子供との話で、当の博士は八十分しか記憶が持たない。博士と家政婦さん達が、何を見て何を話していくら笑い合えたとしても、八十分後には博士の記憶は白紙に戻されてしまう。それでも、博士は幸せそうだった。少なくとも私はそう読んだ。限られた時間の中でも、博士は笑っていたから。
記憶が無くとも幸せになれるのか。記憶を持たない人は不幸なのか。不幸だと決めつけて仕舞えば、博士は幸せではなかったと言うことになる。記憶は時に幸せへの足枷にもなりうる。辛い記憶、悲しい記憶はなかなか忘れられない。
私自身まだまだ人生経験が浅くて、到底納得のいく答えなど出ないけれど、刹那刹那を幸せに生きれば良いのか、幸福だった記憶が一つでもあれば良いのか、いつか分かるときが来ればいいなと思う。
3/25/2025, 12:35:14 PM