とある恋人たちの日常。

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『たくさんの想い出がつまった家だ……』
 
 昨日、家に帰ると恋人がカーテンを見ながら、そう呟いていた。
 
 その言葉は次の日になった今でも、俺の心に残っている。
 
 彼女との想い出は、何もかもが宝物だ。
 出会いも、不安になったことも、すれ違いも、それ以上に沢山ある笑いあったことも。全部が幸せな宝物だ。
 
 今日は休みの日で誰もいない。俺はあの時、彼女が触れていたカーテンに手を伸ばす。
 
〝これからも想い出をたくさん作っていこう〟
 
 そう、彼女に告げた。
 
 俺は嬉しくて、口を開けずに目を細めて笑う。
 俺と彼女は少し前から将来の話しをしていた。〝家族になりたい〟という願いを彼女も理解して受け入れてくれている。
 
 部屋全体を見回す。
 
 この家は2LDKで、ふたりで住むには十分だ。でも家族になったら、きっと手狭になることを理解している。だって、家族はふたりから増えていくものなのだ。
 
「宝物、きっと溢れるよ」
 
 
 
おわり
 
 
 
一八八、宝物

11/20/2024, 12:51:02 PM