烏兎

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 私の手は働き者だ。
 メイクをする。繊細で細やかな手捌きは、顔のビフォーアフターを見れば一目瞭然。もちろん、ネイルもバッチリ。まるでプロに任せた仕上がりで、まさに神業。だけど、ああ、なんて骨ばった手なんだろう。
 私の手は醜い。
 ウィッグを被れば、ほら、私は理想の私になるのに、こんなにもゴツゴツと節くれだった、美しさのかけらもなくて、まるでアンバランス。でも、この手でなければ、私は私にさえなれない。
 私の手。愛しているわ。でもこの現実を憎んでいるの。

お題:好きになれない、嫌いになれない

4/30/2025, 4:04:12 AM