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 けたたましく鳴るベルの音にゆっくりと意識を浮上させる。
 一瞬視界に入った見慣れた天井に、振り子の如く瞼が閉じる。

「ハッ!やっばい!遅刻じゃない!?これぇ!!?」

 閉じきった瞼と頭が急激に覚醒していく。ばっ、と振り返った時計の針はとうに起床予定時刻を過ぎていた。すぐその隣には置き手紙付き。
 
『おーい、起きろー!!良し、起こしたからな〜』

「ぶっ飛ばすぞてめぇ......!」

 先に起きた筈の友人への怒りを手紙を破り捨てる事で発散し、流れるように身支度を済ます。
 起こすように頼んだ筈の友人の所業に腹が立つ事は有れど、遅刻したのは自分だ。
 致し方なし、閉まる扉を背に足早に目的地へと向かうこととした。


「ベルの音」

12/21/2023, 5:17:03 AM