題.暗がりの中で
友人に誘われ飲みに行った帰り、ふと、何かの視線を感じました。
不思議に思い、立ち止まって見回してみる。
しかし、前方を見ても、後方を振り返り辺りを見渡してもあるのは暗い道を照らす、木製の街灯のみ。
通り魔かどこぞの殺人鬼か、彼はどこかに不審者のような者がいるのかと疑い、家に向かう足を速めた。
すると、先程から感じていた視線が一層強まった。彼は酔いのせいかずっとついてまわる視線に苛立ち喧嘩腰で後ろを振り返る。
瞳。見たものを飲み込むような深い。深い。
大きな瞳が彼を覗き込んでいました。
彼が振り返れば、彼の身長ほどある瞳の眼球がきゅ、と少し縮まる。
それは何故だか彼には、まるでこの大きな瞳が歓喜しているように感じたのです。
夜の暗闇のような、澄んだ巨大な瞳。暗がりの中での摩訶不思議なできごと。
雀の囀りで起こされた彼は、明るい辺りを見渡し首を傾げながら頭を搔く。
10/28/2024, 10:29:26 AM