君の声はとても素晴らしい。
と言って欲しかった。
だが、現実で褒められるのは、いつも容姿容姿容姿。
人の第一印象が、目で見える物になるのは仕方ないにしても、だ。
「そう。まるで、君はあの春風のように美しいメロディーのような声だ…なんてのはどうだろう!」
「そうだね。“春”という点では、蓋を開けば春の嵐のような豪速球トークしか出来ないあんたには、ある意味ピッタリなんじゃないかな」
少し肌寒さを感じる風が吹く中、窓から差し込む午後の陽射しが、部室内を夏の様に感じさせていた。
だが、冷たい。心が痛い。
マイガラス●ィックハート…
「歌ってないで、コレ。出来たからチェック宜しく」
そこは、素敵な歌声ね。て褒めるところだろう!と言いたかったが、これ以上の無駄口は許さないと言わんばかりの圧に、春の陽気みたいな俺でも、冬の寒さを思い出し、大人しく原稿用紙のチェックを始めた。
相変わらず、綺麗な字の羅列は、溢れんばかりの才能を感じる作品だ。
「やはり、君の作品は素晴らしいな…演じれる俺は果報者だ……」
「言い過ぎ。褒め過ぎ。…良いから、最後まで読んで」
と言うと、頬に手を当てて肘を突き、こちらを見ていた顔を、くるりと窓の方に向けた。
どうやら、また余計なことを言ってしまった様だ。
これ以上機嫌を損ねてはいけないと、慌てて作品に目を通す。
それは、虹の麓へ辿り着く為の冒険だった。
だがしかし“自分達が普段目にしている虹”ではなく、何処にあるかも分からない“七色に彩られた光輝く橋”を探す物語。
その橋を見つける為に必要な7つのアイテムをまず探さなくては行けないのだが、それらを探す中で、麓にあるだろう宝よりも、それぞれの忘れかけていた大事な物に気付く。
そんな話だ。
「特に、最後のこの台詞
『失くしてしまったものは、もう戻らない。
けれども、僕は、あの麓にあるだろう物よりも…過去よりも!君の側に居たい。君があの日教えてくれた、七色に光り輝く様な、そんな未来に、僕も連れて行ってくれ!!』
これが…君みたいに上手く言葉にできないが、とても心にグッときた。こんな風に手を伸ばしてくれたなら、俺なら、抱き上げて一生離さないなぁ」
「…………………じゃあ、そうしてくれよ…」
「…?」
「ん…」
そう言った君の顔が、余りにも林檎の様に可愛らしくて…
嗚呼。そうだった。
なんでいつもいつも、こんなにも、君といると
〈まるで、心に虹が掛かるように〉
(お待たせしました。相も変わらず…いや、全部が全部じゃないのですが、今回も思い付くままに打ち込み始めたのですが…
七色=虹から遠ざける為に、七色の〜を書こうとしてたのですが……結局、虹を出してしまった。む、無念…)
(曲名(歌詞)そのまま出すのは駄目だろうと思ったので、一応●を入れました。ロック大好きです)
3/27/2025, 6:40:54 AM