目が覚めると、そこは小高い丘の上の草原だった。色とりどりの花が咲き乱れ、大気には白い霧がかかっている。
草原の間を、柔らかな曲線を描いて小川が流れる。眼前にはまぶしく白い光の存在がふたつ、輝いている。
光の存在にいざなわれ、私はいつしか大樹の下にいる。私は確信した。彼らは、天使だ…
「生涯にわたって、私はあなたを支える。」右の光が言う。
「あなたが望むとき、いつでも私はそばにいる。」左の光がささやく。
そのとき、背後にもう一人光の存在がいることに気づく。
「あなたはすべて許されている。」
私は至福の感覚に包まれる。
しかし別れの時は訪れ、気がつくと私は、草原の上で白い薔薇の輪の中に横たわっていた。
あれは夢か?しかし夢ではない証拠に、手のひらには握りしめた手の感触が残っている。
【目が覚めると】
7/10/2023, 11:11:08 AM