平穏な日常
それに飽きたものは刺激を求める
平穏とはなにか
平らで穏やか
要するに何も無いということ
何も無い
何も落ちておらず 壁などどこにもない
ただ歩いて 歩いて
明るさも暗さもない世界で
歩いて 歩いて
走る必要もなく 道というものも無く
落ちて 落ちて ただ終点を望んだ
だが終点が近づくにつれ無性に抵抗したくなった
何も無かったから 抗うという概念すらもなかった
終点というものができて 抵抗というものができた
無くなることに 抵抗した
手を振り回せば
悲鳴と血潮が飛んでくる
肉の感触が手に絡みつく
何も無いはずなのに
はやく はやく
終われ 終われ
終点よ 許してくれ
この手が己の喉に刺さる
それを隔てた壁の向こうで
今日も僕は生きていく
平穏な日常を。
3/11/2023, 3:44:54 PM