小説
創作
きっとこれが最期だから。
「ありがとう、ごめんね」
君の泣き顔を見上げながら小さく呟く。
ぽたぽたと落ちてくる雫が冷たい。
嗚呼泣かないで、僕の大好きな君。
手を伸ばし、頬に触れる。
手を重ねられると温かみを感じた。
「好きだよ」
君の幸せを一番に願いたかったはずなのに、僕は君に呪いの言葉を贈る。
僕のことを忘れて欲しい。
僕のことを忘れないで欲しい。
ごちゃ混ぜになった気持ちは涙となって目から溢れ出す。
君の唇が言葉を紡ぐ。
「 」
もう僕には聞こえていなかった。
12/8/2024, 11:38:26 AM