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私の友達は、できない子だった。
何をするにも私を呼んで「ごめ〜ん」なんてふにゃけた声で事を押し付ける。やってあげると、うざったらしいほどの笑顔で「ありがとう!」と言う。
はじめは厄介極まりなかったが、今ではそれにちょっとした優越感を覚えていた。
私がいなきゃこの子、何にもできないんだもんな。
私がいなくなったらこの子、どうなるんだろうな。
私が断ったらこの子、どんな顔するかな。
あーあ…かわいそう。
本当に、なんて可哀想な子だろう。

「私、明日から学校来ないの」
突然だった。
彼女は家の都合で引っ越すことになったらしい。
「ごめんね。もう、一緒にいられないの」
ぼろぼろと大きな涙を流す彼女。
全然似合ってないなぁと思った。

あの子が引っ越してから、私はクラスに居場所が無かった。彼女がいない、酷く退屈な日々を過ごすこと2ヶ月。彼女から写真付きのメールが送られてきた。
『げんき?
私は楽しくやってるよ!
また遊ぼうね!』
その下に、向こうで作ったであろう友達と、満面の笑みを浮かべる彼女の写真。
はっと息が漏れる。
なんだそれ。
私じゃなくてもよかったんだ。
全身の力が抜けて、思わず机に突っ伏す。
本当に可哀想なのは私だったって事か。

その後、私はあの子からのメールを捨てた。
ひどい喪失感があった。

9/10/2023, 11:20:20 AM