周りにとけ込めない女の子

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42.それでいい


今僕には付き合っている人がいる。
ツンデレで誰でも見惚れてしまうほど美しい。
そんな大好きな人と平和に過ごしていたが、
そんな日常に事件が起こる。
「おい!大丈夫か?」
そんな声が聞こえて我に帰った。
「大丈夫だよ。ちょっとぼーっとしてた。」
そんな返事を聞いて君は不機嫌そうになる。
「最近おかしいぞ?俺との昔の思い出とか
全然覚えてもないし、俺の好物まで忘れてる。
お前が覚えてないのは絶対おかしい。」
そんなことを言われて初めて僕は昔の記憶が
段々忘れていることに気がついた。
君と付き合った日、君と初めてデートに行った日、
そんな楽しかった日常が思い出せないでいる。
僕の顔にその感情が出ていたのか君は心配そうに僕を見ている。君は僕の手のひらに君の名前を書いた。
「これで、俺のことは忘れないだろ?」
その日から僕と君の生活が少しだけ変わった。
君は、僕と君との思い出をノートに書いている。
他にも一日のスケジュール、君の好きな物などを壁に貼ってひとつでも忘れないようにしてくれている。
「そろそろ電気消すか!」君は仕事が休みの日は、
ずっと僕のそばにいてくれている。ご飯食べる時も
お風呂入る時も寝る時も。君と話す時間が増えていたけど、君の笑顔を見ることがだんだんと減っていった。申し訳なくて、コンビニで君の好物を買おうと
思ったけど、忘れてしまった。
だから君の好きな飲み物、ジンジャーエールを買った。時が過ぎて、春になった。
毎日欠かさず僕は君に質問をする。
「今日はなんの質問だ?」そう聞いてくる君に僕は、
「僕は君とずっと一緒にいたい。」そう答える。
君は満足したような顔になり、笑顔になる。
それでいい。昔の記憶が無くなったとしても今君といるこの時間は覚えている。今を大切にしよう。そう君の顔を見て思う。

4/5/2024, 9:15:04 AM