NoName

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どこかに行きたい。

どこかに向かっていたはずなのに、
目の前の羅針盤は回りっぱなしだ。

このまま、嵐にでも突っ込んでいけたら、
少しは楽になるだろうか?
少しは必死になるだろうか?

俺は風来坊。
1ヶ所には留まれない。

ずっとどこかに行きたいと
思っていたわけじゃない。
俺だって、ここにいたいと
思うことがなかったわけじゃない。

ずっと昔、俺を唯一必要する人間がいた。
そいつといた時だけは、
ここにいたいと強く願ってた。

邪悪な神とやらが、
その人間を始末するまでは…。

俺をどうしても1ヶ所に
留まらせたくなかったんだろう。
俺にとって代わりなんかいない人間を
いとも簡単に消しやがった。

俺が荒れ果てて、
すべてのものを破壊してく様を
楽しそうに笑ってやがった。

それから俺は、また流れた。
風が吹くように、どこにも留まることなく。

俺がいる場所には、花が咲き、作物はよく育つ。

俺の心とは裏腹に…。




1/21/2025, 12:28:02 PM