楽園の名を関する獣たちの蹂躙が始まる。これで終わったはずだと、誰もがそう信じた直後のことだった。絶望は、容易く希望を食い破り現実を書き換えていく。悲鳴があちらでもこちらでも上がる。
『どうしてお前らはそう簡単に奪えるんだよ!』
ワナワナと肩を震わせながら叫ぶが、獣たちの進軍は止まらない。先程までの激戦が、まるでリセットされてしまったかのような虚しさを覚えた。
自分たちが全力を傾けて戦ってなお、神の国は遠かった。それとも、最初から目指すという選択そのものが間違いだったのだろうか。志を共にした同胞たちの断末魔が鼓膜の奥で反響し続ける。
もう、もう充分だろう。充分やったじゃないか俺たちは。
崩れ落ちるその身体を支えてくれる温もりは、もうどこにもなかった。これは、楽園を目指したもの達のエピローグ。近くて遠いパラダイス。
4/30/2024, 1:32:40 PM