薇桜(引き継ぎ失敗しました💦)

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 …暑い…?違う、熱い。体が、熱い。
『目覚めたか。』
脳内に直接響く、低く聴き慣れた声。契約聖獣のユノアだ。目を開ければ、真っ暗闇。匂いからして、医務室だろう。
「うん…。」
『何があったか思い出せるか?』
『うん。ひどくやられたんだよね。大丈夫、記憶の混濁はないよ。ただ、体が熱い。』
『それは仕方ないと、ユーエンが言っておった。』
ユーエンは私を治療してくれた医者だ。
『わかってる。』
私はゆっくりと体を起こした。目が暗闇に慣れてくる。
『ユノア、スリッパとってくれる?』
私が言えば、器用にくわえて私の足元まで持ってきた。
『どこへ行く?』
『少し外に。』
寝てないといけないことはわかってるけど、こうも熱いと眠れない。ユノアは否定せず、静かに私のそばにいる。
 医務室の扉を開ければ、東の空が明るくなり始めていた。
「黎明。」
私はつぶやいた。そうだ、戦いは終わった。
「アイシェル。」
名前を呼ばれて、私は肩を揺らした。
「驚かしたみたいでごめんよ。」
振り向くと、頭に包帯を巻いたレイメイがいた。
「体は大丈夫なのか。」
「うん…。」
「そっか。」
私たちは、揃って夜明けを迎えた。
「静かだ。」
「…みんな、満身創痍だったからね。」
「こんな夜明けも、悪くないな。」
いつもはしゃいでうるさいレイメイらしくなく、静かに笑った。また、ここから始めよう。

2/7/2025, 9:19:03 AM