元気かな 夢へ! 君と僕 です
元気かな
「元気かな。…って、元気に決まってるよね」
スマホを握りしめ、僕は苦笑いする。
キミと離れてまだ2日。なのに、今すぐにでも会いたくて仕方ない。
「たった、1週間。そう、1週間なのに…」
上司とともに来た出張。1週間なんてあっと言う間だと思っていたのに…。
「せめて、キミの声が聞きたい。けど、聞いたらキミが恋しくて、帰りたくなってしまう…」
そうわかっているからこそ、我慢しなければ…。
僕はスマホを握りしめたままベッドに横になると、きつく目を閉じたのだった。
夢へ!
「ああ、まただ」
いつも見る夢を今日も見た。けれどその夢は、いつも同じ内容の繰り返しで、同じところで目が覚める。
「うーん、どうにか続き、見れないかな」
続きを見る方法、続きを…。
「何かないかな」
と考え、ふと思う。
「そっか。いつもは出かけなきゃならないから起きるけど、今日は休み。もう一度寝たら、続きが見れる…とか?」
いや、そんなわけ…でも…。
「うん、やってみなきゃわからないよな。いざ、夢へ!」
僕は布団をかぶると、目を閉じたのだった。
君と僕
君と僕。
第一印象は、お互いに良くなかった。
僕は君を、愛想のない人だと思い、君は僕を、軽い人だと思っていた。
そんなお互いの印象が変わったのは、仕事でのトラブル。君が発注した品と同じ物を、別の社員が別の会社に発注し、数が多くなった。それを捌くのに僕が一役買い、君は、別の会社に発注する。というミスをした社員のフォローをした。
「ごめんなさい。発注ミスは、発注済みを課で共有していなかったことで起こりました。私の伝達ミスです」
と、頭を下げる君に
「何とかなったんだし良しとしよう」
ニッと笑うと
「いえ、それでは私の気が済みません。何かお礼をさせてください」
責任を感じているのか、君は必死な顔をする。
「なら、食事に付き合ってもらえませんか?」
必死な君に応えるため、そんな提案をすると
「はい、良ければご馳走させてください」
君は肩の荷が下りたように、ホッとした表情をする。
「…そんな表情もするんですね」
「…はい?」
「いや、なんでも」
トラブルと食事がきっかけで、お互いの距離を縮めた君と僕。今では公私ともに、良いパートナーになっているのでした。
4/12/2025, 8:26:21 AM