白糸馨月

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お題『神様へ』

 僕が住んでいる村の山奥には、神様ポストと呼ばれる古ぼけたポストがある。そこに神様宛の郵便を投函すると、差出人の願いが叶うという。
 今、僕はルーズリーフに書いた手紙を持って急な山道を一人で歩いている。学校から逃げるようにダッシュで帰った後、僕はルーズリーフに神様宛の手紙を書いた。

神様へ
僕は今、学校でいじめを受けています。
いじめの主犯である●● ●●にいじめのターゲットをうつしてください。
お願いします。もういじめられたくないんです。

▲▲ ▲▲

 こう書いた手紙を手に握りしめる。やっとポストにたどりつく。まわりの草木は手入れがされてなくて、虫がうごめいている。僕は急いでポストに手紙を投函すると、山から滑り降りるように家路を急いだ。

 そうしたら次の日から僕の状況は、一変した。教室に入ってもモノを投げつけられることもなく、えずく真似もされない。僕をいじめていた主犯を避けるようにクラスの皆が教室の端に寄ってる。主犯の机の上にブラジャーとショーツが置かれていて、主犯はうつむいたまま黙っている。

「こいつ、先生の下着盗んだんだって」
「うわ、キモ」
「変態じゃん」

 そんな言葉が次々と繰り出される。ふと、主犯と目が合う。主犯は、恐ろしい形相で僕を睨みつけていた。だが、立場が変わったんだ。臆することはない。
 僕は満面の笑みを奴に向けて、自分の席についた。すごく気分がよかった。

4/15/2024, 3:36:24 AM