あるカフェでのこと。
彼女はコーヒーを頼んだ。
彼はカフェラテを頼んだ。
店員がカップを置いた瞬間、彼女がひとこと。
「えっ、それ私のじゃない?」
彼は慌ててカップを見て、真顔で答えた。
「いや、ラテアートがハートだから、きっと君のだよ」
彼女は笑って返した。
「違うよ、私ブラックコーヒー派だもん」
ふたりは顔を見合わせて、同時にクスッ。
結局、入れ替えて飲むことになった。
そして最後に彼がぽつり。
「でも、結婚したらこうやって料理も間違えて取り合うんだろうね」
彼女はまたクスッと笑った。
「じゃあ、最初から“ふたり分け合うメニュー”にしたらいいんじゃない?」
カフェの隅で、コーヒーとラテよりも甘い空気が漂っていた。
8/31/2025, 5:45:57 AM