雷鳥໒꒱·̩͙. ゚

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―大地に寝転び雲が流れる・・・目を閉じると浮かんできたのはどんなお話?―

「あれ…」
目が覚めると私は大地に身体を預けて
横になっていた。
ここは…どこなんだろう。
こんなところで横になった覚えはない。
それどころか、ここに来たこともない。
身体を起こすと、そこは広く広く、
果ての見えない大地で、
吹き付ける風が草を揺らしていた。
ここにはたぶん、誰もいない。
花も虫も鳥も、それから、私を遮る人たちも
ここにはいない。何もない。
そう思うと気が楽になった。
ようやく肩の荷が下りたみたいだ。
再び寝転び、長い息を吐いた。
なんだか、息をする隙間もなかった心に
やっと酸素が流れてきたような感じだ。
初めて息ができたような気分。
スっとする。気持ちいい。
空を見上げれば雲がゆったりと流れている。
風が私を洗ってくれている。
目を閉じればいつか昔に見た景色。
水平線に沈む夕日を背に、
穏やかに微笑んだ君が私の頭を撫でてくれる。
「もう大丈夫だよ。よく頑張ったね」と。
私、頑張ったよ。
君がいなくてもちゃんと、できたよ。
だから…君は手を広げて、
私を迎えてくれるかな?
「…うん。待ってるよ」
君は目を細めて上手に笑った。
私も、君と同じように、笑えた。
たぶん。

5/7/2023, 4:01:35 AM