君の声がすると思って目を開いた。久しぶりに聞いた声で、優しく頬をすかすような。春の暖かい風に桜の香りが乗るような感覚が耳を掠めた。1人の部屋、1人の靴、1人の箸。朝に声を聞いただけなのにも関わらず、どうということのない景色の一つ一つが色付いて見えた。 もし今朝の声が君でないとしても、君が私に声をかけることがなかったとしても、今だけは君がそばにいると信じたい。
2/15/2025, 12:31:50 PM