SAKU

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雪はゴミです。雪原と聞いたら、綺麗とかロマンチックな事を想像するのが普通だけれど、雪の現実を知ってしまうと、うんざり。

確かに、雪が降った直後の朝は、とてつもなく美しいけれど、、春になればぐっちょぐっちょで、ぐっちょぐっちょの泥の中から小さい黄色い花がチラホラ見えてきて、


春と言ったらピンクを思い浮かべるけど、北国の春は、ちっさな青か黄色から始まる。


雪原の先に何があろうと、野原は春になればどこもかしこもぐっちょぐっちょ。

そして雪はゴミ。除雪作業中に車に轢かれて死ぬ事もあるし、屋根からの落雪で生き埋めになったり首を折ったりする。春になれば、除雪車が積み上げた雪山からゴミが出てくる。朝は晴れていても、午後からボンボン雪が降ってきて、車は埋もれる。
雪は油断がならない。

雪と聞いただけでは、ロマンチックな事がひとつも思い浮かばなくなってしまった。



今朝は、遠くの山脈が雪景色で、西へ西へと車を走らせていると、うっすら月が見えた。峠のカーブを曲がるたび、月を見失って、シールの剥がし跡みたいな軽い月を追いかけながら会社まで行った。


観光客なら、雪も楽しい。

他人事じゃない雪が毎朝、朝日の中でキラキラと舞い、集落は閉ざされたスノードームで、針葉樹は粉砂糖をふりかけたお菓子に見える。言い尽くせないあまりの美しさに、もううんざり。




12/8/2025, 11:18:57 AM