『遠くの街へ』
唐突に旅がしたくなった。
電車を乗り継いで、辿り着いたのは知らない街。
穏やかな日差しに囲まれて、のんびり散策をする。
風で草木が揺れ、花がぽつぽつと咲いている。
遠出をしたくせに普通の散歩とあまり変わりないなぁ
そんなことを思いつつ、道の端に造られたベンチへと座った。
暖かい日差しのせいか、少し眠い。
そういえばここはどこだろうか、と少し疑問に思ったのでスマホで位置を確認するために鞄を漁ることにした。
そうすると、餌でもくれると思ったのか、野良猫が一匹こちらを見ている。
思わず手を止め、少しのあいだ見つめ合ってしまった。
動いたら猫が驚くと思い動けない私と、何故かこちらを見ている猫。
さて、どちらのほうが根気強いのか。
しばらくものあいだ息を殺してじっとしていたら、ようやく猫が動き出した。
先程こちらを見ていたとは思えないほどあっさりと、身を翻して去っていく猫。
私が動かなかった意味とは、と思いつつ、ほっと溜息をついた。
残るは、穏やかな日差しと、少しばかりの緩やかな風。
スマホで時間を見ると、もう1時間も経っていて
そろそろ帰るか、と思い、その場を後にした。
遠出をしたと言っても、少し遠くの街ていどだが
まあ、猫を見かけられたのでよしとしよう。
3/1/2026, 8:43:20 AM