兎と亀

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凍える朝


冷気で目が覚めた
手足が冷えて氷のように冷たい

冷凍庫に閉じ込められたような空気に
私は布団に閉じ籠りたくなる

静かにこちらに向かう音がする
氷の橋を渡るような音がして
息を潜めた

あの時から一体何年経っただろう

「冷凍保存実験成功」

ディスプレイに映された言葉を見ても
ピンとこなかったが
次第にあの時が蘇る

誰かに奪われた家族
金に溺れた親友

一筋溢れた涙もすぐに凍ってしまう

きっと

貴方の運命でさえも
凍っていつかは砕けるのだから

11/1/2025, 7:38:45 PM