わたしのおばあちゃんは、同じ街だけど少し離れた所に住んでいる。
小さいころには、ときたま遊びに行ったり、おばあちゃんのほうからうちに来たりしていたけれど、わたしが学校や友だち付き合いが多くなって忙しくなって、それにおばあちゃんが年をとって出かけるのが大変にもなって、最近はあまり会えていない。
おばあちゃんはわたしの誕生日を必ず覚えていて、毎年プレゼントと言って手料理を贈ってくれる。
料理好きで、以前はうちに遊びに来るとなると手作りのお菓子を持ってきてくれたおばあちゃんらしいし、わたしも子どもの頃は、おばあちゃんの料理を美味しい美味しいって食べていたわ。
でも、それって何年前の話なのかしら。おばあちゃんにとっては、わたしはまだ四、五歳なのかしら。毎年誕生日を覚えているのに?
正直言って、おばあちゃんの料理って、よく言えば伝統的、悪く言えばババ臭いのが多いのよね。
誕生日にケーキはかぶるからと気を遣ってパイ、というチョイスは悪くないけど、申し訳ないけど、わたしはあのパイが好きじゃないの。
けど「あのパイが好きじゃない」ことを、おばあちゃんに言えていない私も悪いの。
だって、せっかく作ったお料理が嫌いって言われたら、ショックでしょう。
今度、電話があったら、伝えようかしら。
いえ、久しぶりに時間を作って、会いに行ったほうがいいのかしら。
いつかは伝えなくちゃいけないのに。
『やるせない気持ち』
8/25/2024, 9:49:53 AM