灰田

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張りつめた心が、破けてしまいそう。
この星空の下で悲しみを吐露して、
ずっと引きずっていた自分の物語を、瓦解させて閉じてしまおうと思う。

あるいは綴じてしまおうと。

ふたりでいれば何もいらないなんて、思ったことはなかった。
ふたりでいさえすれば、幸せだなんて思ったことも、なかった。
でも、ふたりでいることが大前提だった。
それは今も…

でも思う。
ふたりって、なんだろう?
ひとりってなんだろう?
私が私の中の鏡に君を写しているだけなら、何の意味もない。

この星空を鏡に写してもうひとつ持っていても、何にもならないように。

こんなにきれいな実物。
こんなにきれいな実物の君。

私が私のために利用出来ない本当の、本当の君だけが欲しい。

だから…

本当に君を観るために、私は私の物語を閉じる。
それもきれいだったけれど

この星空の下の、君にはとてもかなわないから。




4/5/2024, 10:17:08 AM