るに

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海色の切手が無きゃダメだよ。
私はある人に手紙を出そうとしていた。
問題は、名前も思い出せないし、
住所も、生きてるか死んでるかすら
わからないこと。
そんな時
噂を思い出した。
「放課後ポスト」。
学校から開放された放課後のように
自由なポスト。
なんでも、
そのポストは
住所や宛名が書いていなくても
ポストの上にとまっているカモメが
必ず届けてくれるらしい。
でもまさか
そのカモメが喋るとか、
普通の切手じゃダメなのとか、
そんなことは予想つかないよね。
ねー、ボクもう今日の分運んじゃうけど。
カモメに急かされる。
ごめんなさい。切手、それ以外持ってないんです。
海色の切手、本当に持ってないの?
カモメはポケットをまじまじ見る。
よく分からないが、
ポケットをまさぐると、
藍色のような、水色のような、
綺麗な切手が1枚出てきた。
手書きのような字で
"Good Midnight!"
と真ん中に書かれていた。
ほら、あるじゃん。さっさとこの切手の上に貼って。
は、はい。
切手を貼ると、
さっきまで空白だった
住所と宛名の所に文字が現れた。
なるほど、この切手のおかげで
カモメが運べるんだ。
ね、キミさ、あとでそこの雑貨屋行きなよ。
と言うと、
カモメは数枚の手紙を持ち、
すぐに飛び立ってしまった。
言われた通りに雑貨屋へ行くと
フクロウに似たあの人が
店員さんだった。
お久しぶりです。
その声は
驚きすぎて
すぐお店のドアを閉めた
私の耳には届かなかった。

10/12/2024, 12:35:43 PM