(冬支度)(二次創作)
見かけたセイカがもこもこになっていた。
MZ団のロゴが入ったジャケットを羽織るか、もしくはホテルシューリッシュに行った時のスーツ一式のいずれかしか着ない娘が、もこもこになっていた。ついでに、手持ちポケモンも変わっており、新しく炎タイプが2匹ほど加わっていた。
「冬支度かいな」
「女性は寒いのが苦手と申しますからね」
ならば事務所にも温かいものを用意するかと考えて、カラスバは思わず吹き出した。サビ組のトップたる自分がたった一人の娘に随分入れ込んで、おかしな話だが、存外気に入ってる。気に入った女一人囲うだけの力を得たのだと考えれば気分もよい。
数日後、再びセイカを見かけた。
やはりもこもこしている。さらに、MZ団の坊主から貰ったらしい帽子から、毛糸の帽子に変わっていた。そんなに寒いか?と首を傾げるカラスバだが、
「女性に冷えは大敵と言いますから」
とジプソは冷静だ。
また別の日、今度はロワイヤルに参加中のセイカを見かけた。相変わらず難なく勝利を収めているが、何となく寒そうにしている。あれから更に、マフラーも増えているというのに。
そのうちガラルダルマッカになるのでは、と想像して吹き出す。すると気配を感じたのか、セイカがこちらに気付いた。
「カラスバさん!お仕事お疲れ様です!」
「オマエまで組のモンみたいな言い方すんなや」
ぱたぱたと駆け寄ってきたセイカは、そのままバトルゾーンからこちらに出てきた。そう言えば会って話すのは久しぶりな気もする。セイカは嬉しそうに、最近レベル上げしているカエンジシとブースターについて語ってくれた。やはりどこか寒そうではあるのだが。
「そや」
カラスバはポケットを探る。ちょうど今、いいものを持っていた。
「これ、やるわ」
「手袋?」
「随分前に買うたやつや。オレが嵌めるには耐久性がな……」
最初に冬支度したセイカを見た日から、次会ったら渡そうと考えていた。見立て通りサイズも合っている。何よりセイカが嬉しそうなのが良かった。
11/7/2025, 9:49:08 AM