〈不条理〉
子どもの時に、程良い不条理を味わっておくと、大抵のことは笑って見過ごせます。
なんて、若造が言ってるだけですがね。
あの筋の通らぬ大人の前で、自我も主体性も求められず、反抗という発想にも至ることが出来ず、只々上唇を前歯に巻き込んで噛み黙っておくことしか出来なかった。
その数十分の時間を、幾度となく繰り返したものです。
怒号が耳に染み付き、大きな声を出されたくらいじゃあ、怒られた気にもならない生意気な小僧が出来上がりました。
しかしね、怒鳴られても肩を震わすことはありませんが、いかにも厳粛な表情を作り出すことに長けますので、「確りと叱られ」ました。
このようにして、少々冷静さを欠く相手方との接し方を私の身体は覚えました。まだまだ「上には上がいる」でしょうが、ちょっとやそっとのことでは腹は立ちやしませんよ。
こんな人間はね、何を言われても、心中で丁寧に水を注ぎながら、ハイ、ハイといかにも大事のように頷けるのです。
3/19/2024, 10:13:55 AM