【どこにも行かないで】
置いて行かれる寂しさは
大人になった現在(いま)も
消えなくて
「もう無理だよ。別れよう」
「何で…?」
ずっと一緒に居てくれるって言ってたじゃん
なのにどうして今更そんなこと言うの?
こんなにもあなたを愛しているのに
「荷物は適当に捨てといて」
「待って…」
「じゃあ」
「行かないで…」
パタン
とドアが空しく閉まる音が静かになった部屋に響いた。
もう彼は私の傍に戻っては来ない。
その現実が私に襲いかかる。
「なんで、…」
いつもこうなっちゃうの?
どうして皆私を置いていくの?
誰に聞いてもその答えを教えてくれる人はいない。
皆都合の良い理由を見つけて
私の前から消えていく。
「なら、」
私は要らない。
何度傷つけたか分からない腕の紅い痕を
また上から新しい傷痕を付ける。
こんなことしてもあなたが戻ってくることはないのに。
それでも私は。
腕から流れる紅い涙を見つめながら
私はそっと目を閉じる。
もう戻らないあの幸せな日々。
誰も教えてはくれなかった。
明日が来ないことを願って
私は眠りに落ちていく。
6/22/2025, 11:24:01 AM