「触ってはいけない」と教えてきた火に、
いつのまにか自分の手で命を吹き込めるようになった瞬間。
それは、ただの技術の習得じゃなくて、
もっと古来からの命が継がれた感覚がした。
あの日、息子の手の中で灯ったのは、
焚き火の火そのものよりも、
「自分で火を起こせた」という喜びだったと思う。
ひとつの火を囲み眺めること、
それは太古から人々が重ねてきた祈りのかたち。
私たちに護られてきたその手が、
自らを守る側に変わり、
やがて何かを護る手へと成長していく。
胸の奥が熱くなり、そっと目を細めた。
あの日、あの小さな輪で灯火を囲む夜に。
題 灯火を囲んで
11/7/2025, 8:18:52 PM