指先に乗るほどの
小さな貝殻を、夏が終わり
静けさを取り戻した浜辺で見つけた。
今夏も、暑過ぎて
真夏の海を訪れることは
出来なかった。
体力は、吸い上げられるように
日に日に奪われ
点滴が、ポタポタと落ちる
あの光景が、夏の思い出だなんて。
少し悲しくて
夏の名残惜しい気持ちを
残したくなくて、海に来た。
ただ、実際に来てみれば
波のぶつかる音や、海風は
そんなちっぽけな感情を吹き飛ばして
くれるほど、力強くて
素晴らしかった。
そっと、小さな貝殻を浜辺に戻して
もう少し歩く事にした。
人生は、何が起こるか分からない。
見たいものは、見るべきだなと
水平線を横目に…思った。
【お題:貝殻】
9/5/2023, 2:24:46 PM