NoName

Open App

1件のLINE。それで僕から見える世界は変わった。

僕には弟が二人いる。僕は三兄弟の長男だ。ごく普通で仲の良い兄弟だったと思う。僕は進学先として兵庫県のバレーが強い高校に進学しようと思ってるんだ。気がついたら僕はバレーをしていたんだ。弟二人はサッカーをしてる。僕もサッカーは嫌いじゃないけどバレーの方が好き。父さんも母さんも応援してくれてるし、このまま続けてプロバレーボール選手になるんだ!
兵庫県の進学予定の高校は全寮制なんだ。だから、家には頻繁には帰って来れないんだけど。
弟二人はサッカーを頑張ってるよ。クラブチームでも活躍してるみたい。

そして、進学先の高校にも無事に合格したよ!父さんも母さんも頑張ったねって褒めてくれた!弟二人もおめでとうって言ってくれたんだ。

受験合格した年の冬のある日。弟二人はサッカーのポジション関係で喧嘩をしたみたい。僕は必死に止めようと二人の間に割って入ったんだ。そうしたら、「兄ちゃんには関係ない」って結構、いやかなり強い口調で言われちゃった。悲しかったな。その時は僕も頭に血が上って、「あっそう。じぁ、2人で延々と喧嘩してなよ。僕知らないから。」ってムキになった。そこからふたりとはだんだん疎遠になって行ったな。

そして、入寮当日。
結局、あの日から仲直りする事は出来なかった。
寮は2人部屋で、同室の子とはすぐに仲良くなれたよ。同室の子もバレーやってるんだって。

それからかなりの時間が経った。
今日、僕は高校を卒業する。父さんと母さんが卒業式に来てくれた。
改めて、あの日喧嘩した事を謝った。父さんも母さんも僕は悪くないって言ってくれた。でもやっぱり、2人と仲直り出来てないのが引っかかる。思い詰めた顔をしていたのか、父さんと母さんが「家に帰ったらゆっくり話しなさい。2人ともとても反省していたの。」って。
本当は、LINEが来てたんだ。でもブロックしていた。

久しぶりの自宅。ドアを開けると弟二人が飛びついてきた。

それからは、きちんとお互いに謝って仲直りしたよ。父さんも母さんも安心したみたい。そして、大切な話があると言って全員をリビングに呼んだ。
僕は、「プロバレーボール選手になりたくて今までバレーを続けて来たけどバレーボール選手じゃなくてプロサッカー選手になりたい。」って。特に驚いていたのは弟二人だった。父さんと母さんは薄々気づいていたみたい。急な進路変更にも快く快諾してくれた。

それから数年後のある年の試合。僕ら兄弟は3人で優勝カップを手にしていた。念願の夢を叶えることが出来た。

「ごめんなさい。」
この1件のLINEが来てくれたから、仲直り出来たんだ。

7/11/2024, 11:11:27 AM