【君と一緒に】
宵の空が赤く燃えている。衛兵たちの怒号、劈くような金属音、けたたましいそれらに背中を押されるように、君の手を引いて王城を飛び出した。
どこに逃げるかなんて何も決めていない。それでも走る足を止めてしまったら、王族の血を引く僕たちは有無を言わさず処断されるだろう。そんなの絶対にお断りだった。
二人分の足音と息遣いだけが小さく響く。会話を交わすなんて余裕なんてなかった。握り合った手だけが、僕たちの生を証明していた。
君と一緒にゆく道ならば、先なんて見えなくたって構わない。ただその想いだけを胸に、僕たちは展望のない無意味な逃避行へと身を委ねた。
1/7/2024, 1:09:41 AM