ㅤ始まりはいつもどこか痛みを伴う感じがする。ㅤ例えば街路樹のつつじを千切っては捨てる、根元の蜜の密やかな甘さだとか。ㅤ眠っているような老女の座る文具店で、果物の香りの消しゴムを掴み取ったざわめきとか。ㅤ人の言葉を盛って話したら、感心して膨らんだクラスメイトの鼻の穴とか。ㅤそんなどれとも少しずつ似ていて、なんとなく違っている。始まりだなんて気づけなかった、君との恋の始まりの日。『物語の始まり』
4/19/2025, 9:28:24 AM